ななふし先生の相続㊙相談手帖 第2話 ①
財産を与えたくない子がいる
―贈与だけでは遺留分は相殺できない!―
今年はどこで花見を楽しもうかとワクワクしているななふしに、資産家の細見さんから相談におうかがいしたいと電話があった。
電話を切った後、たしか細見さんは長女のさやかさん一家とは非常に円満だが、家出した道楽息子の和夫さんとは険悪な関係だったなと思い出した。
そう言えば細見さんから「妻に暴力をふるって苦しめた和夫だけは許せない。
遺産なんか絶対やるものか」と聞いたことがあるのを思い出し、本気でそれを実行
する準備を始めるための相談かなと思い、これは大変になるなと気を引き締めた。
相続税対策に贈与は有効か?
事務所を訪れた細見さんは、早速切りだした。
「和夫に財産を相続させたくないので、思い切って財産をさやかに生前贈与しようと思っています。ただ、税金が心配なので、ななふし先生にご相談にうかがいました。」
「そうですね。
相続税と比べると贈与税の基礎控除額は110万円と低く、贈与税率は相続税率よりはるかに高いので、相続に比較すると一括贈与は税金面では不利です。
ただし、贈与については期間と金額をよく考えて行うことが重要です。」
「どんなことに注意すればいいのですか?」
「相続税法では、相続等により財産を取得した者が相続開始前3年以内に贈与された財産や、
相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産を加算してから相続税の計算をしますので、
これらは原則として相続税対策となりません。
しかし、これら以外の贈与は相続税の対象外となりますので、
上手に贈与すればベストな相続税対策となります。
たとえば、お孫さん達に毎年500万円の贈与を続ければ実効税率が約10%ですので、
資産家の細見さんの場合、贈与を重ねれば重ねるほど大きな相続税対策の効果が表れます。
相続等で財産をもらわない方々は相続開始前3年以内であっても持ち戻しされないのですから、
効果が確定し非常に有効な対策です」
ところで、孫を養子にして、1代飛ばしに財産を遺せば相続税対策になると
よく聞くのですが、これも効果があるのですか???」
「そうですね・・・・・ 」
次回へ続く